物語

泣き虫な木のうんざり涙

そこは澄んだ空気が漂う、ある湖。

バリン 「まじない学院では、確かにこの湖には貴重な薬水があるって聞いたんだけど・・・」

そう言って、バリンたちはボートで湖をさまよっていた。

バリン 「あっ!あの木の涙が貴重な薬水に違いないわ!」

バリン 「こんにちは、私バリンと言います。あなたの涙を分けてもらえませんか?」

と木に聞いてみた。

すると木は 「このうんざりするような涙が何の役に立つんだい?自分でも嫌になってるのに・・・」 と更に涙を流し続ける。

そんな泣き虫な木に、バリンはそっと・・・

バリン 「300年生きてきた木の涙は、とっても大事な薬になるんですよ、知らなかったんですね」

と話をしながら、木の涙に触れた。

泣き虫な木: 「あとからあとから流れでる涙のせいで友人たちには驚かれながら生きてきて、もう300年も経つんだよ・・・」

周りの木: 「また泣いてる!泣きむしー!」

しかし、今度はうれし涙を流す泣き虫な木。

泣き虫な木: 「私の涙にそんな大事な使い方があるとはびっくりだよ!」

眼から鼻からとめどなく流れ出る涙を、バリンはどんどん瓶に入れていった。

フラビーもギャビーも一生懸命お手伝い。

泣き虫な木の涙は、とてつもなく透き通ったキラキラと光る美しいものだった。

バリン 「大事な涙をもらったお礼に香りの出る土袋を渡しますね。この袋から大地の栄養が流れ出て木をもっと強くしてくれますよ」

そう言って、泣き虫の木の枝にいくつもの土袋をかけた。

泣き虫な木: 「ありがとうバリン、もう自分の涙が恥ずかしくないよ。これからは泣き虫な木として自信を持っていくんだ!」

バリン 「この涙は旅の途中で出会う、悩みを抱えたたくさんの人達にとって良い薬になります!ありがとう!」

キラキラ光る涙を乗せて、バリンたちは湖の木に手を振った。

湖の空気がまた少し明るくなったのだった。